マンガで分かる!物損事故と人身事故
物損事故とは、人にけがをさせたり死亡させたりすることなく、物を壊してしまった場合のみの事故のことをいいます。人身事故とは、人にけがをさせてしまったり、死亡させてしまった事故のことをいいます。
物損事故と人身事故では、まず警察の捜査がかわってきます。人身事故では、加害者に刑事責任が発生する(加害者が犯罪を犯したことになる)ので、警察は犯罪捜査を行います。一方、物損事故の場合は、必ずしも加害者に刑事責任が発生するわけではないので、警察は、簡単な事故処理をするだけにとどまります。
事故の処理が簡単にすむということ以外にも、加害者Bさんが「物損事故で処理しましょう。」と言ってきたのにはわけがあります。物損事故として処理すれば、免許の点数が加算されずにすむのです。
面倒な手続きもないし、免許停止や取り消しの可能性も低くくなる。そんなことを考えて、加害者Bさんは、「物損事故にして」と言ってきたのかもしれません。
さて後日。
被害者Aさんは、なんだか首が痛くなってきました。「あの交通事故のせいに違いない!あれは人身事故だったんだ!でもあの事故は物損事故として処理してしまっている・・・もしかして治療費自腹になるのか?!」
このような場合は、物損事故から人身事故への切り替えを行います。被害者Aさんのように、交通事故直後は体調に異変を感じなかったため、警察には物損事故として処理されたものの、後日体調が悪くなったり、体に痛みが出てくるようなことはしばしば起こります。そうなったら、まず病院に行き、医師に診断書を作成してもらい、事故が起きた地域の管轄の警察署に届け出をして、物損事故から人身事故に切り替えます。
届け出には、診断書等の書類が必要になりますので、事前に警察署に確認しておくとよいでしょう。
はじめに警察署で物損事故として処理された場合、物損事故では刑事上の責任が発生しないことが多いため、警察は正式な捜査をしないことが通常です。警察に切り替えの届け出をすると、正式な捜査をするために、再度事故現場での実況見分立ち会いをする場合があります。その際は被害者(同乗者で怪我をした人がいれば一緒に)と加害者がそろって警察署に行くことが多いです。
切り替えの手続きをすべきかどうか、あまり事故から日が経ってしまわないうちに、なるべく早く弁護士に相談することをおすすめします。
次のページでは、交通事故を起こしてしまったときに発生する「3つの責任」について解説します。