交通事故でもっともモメると言っても過言ではないのが過失割合。当事務所でも、過失割合についてのご相談はとても多くあります。主任弁護士 小林芳郎が、過失割合について詳しく解説します!
過失割合こんなときどうする?
過失の割合について、相手や相手の保険会社の言い分がおかしいとき、その理由としては大きく2種類があります。ひとつは、事故の状況について、相手が事実と違うことを言っているとき、もうひとつは、事故状況に基づいて説明された過失の割合に納得がいかないときです。
ここでは、そのそれぞれについて、どのような対処の方法があるかを解説していきます。
事故の状況について、相手が事実と違うことを言っているとき
こちらの言い分を裏付ける証拠を集めましょう。
相手が事実と違うことを言っているときに必要になるのが、こちらの言い分を裏付ける証拠です。
ドライブレコーダーの映像でもあればよいのですが、そういうような決定的な証拠がある場合には、事実関係について争いにはなりにくいものです。では、どうすればいいのか。
まずは、事故の目撃者捜しをします。もっとも、その目撃者というのが、自分の車の同乗者だとすると、必ずしも信用性が高いとは言えないことになります。また相手の車の同乗者は、相手と同じ言い分をしてくる可能性が高いでしょう。
目撃者として一番よいのは、たまたま通りかかって事故を目撃した第三者ですが、そのような人をみつけるのは難しいものです。目撃者をみつけるために費用をかけようとすれば、莫大な費用がかかり兼ねません。
そこでまずは、警察にある資料を利用することを考えます。特に人身事故の場合は、実況見分調書をはじめ、いくつかの資料を手に入れることができるはずです。また、警察にある信号サイクル(信号の変わり方)のデータが重要な証拠となる場合もあります。このような資料のなかには、本人では手に入れられない場合でも、弁護士に依頼すれば手に入れられるものもあります。
必要な資料が手に入らないときや、実況見分調書等だけでは自分の言い分の裏付けができない場合は、細かな事情を積み重ねていって、相手と勝負することになります。
たとえば
『自分の言い分と相手の言い分、どちらかが通るとしたら、どちらが自然か?』
『相手の言い分を前提としたときに、不合理な点はないか?』
『一般的に、運転者はどのような傾向を持つものか?』
『自分と相手の運転歴はそれぞれどのくらいか?』
『相手の言い分が正しいとすると、事故によって負ったけがや、車の損害に説明がつかないことはないか?』
等を検証していくことになります。
事故状況に基づいて説明された過失の割合に納得がいかないとき
「別冊判例タイムズ第38号」の図をベースに、個別の修正要素を考慮して、過失割合がどうなるかを検討します。
事故状況については概ね言い分の食い違いがない場合であっても、過失割合について、相手の保険会社から示された割合に納得がいかないというのもよくある話です。
過失の割合については、「別冊判例タイムズ第38号」という本の記載を参照して決めることが多いので、保険会社はそれをベースに話をしてくることが通常です。
そこでまずは「別冊判例タイムズ第38号」の図をベースに、個別の修正要素を考慮して、過失割合がどうなるかを検討します。それでもなお、過失割合に納得がいかない場合、そもそも「別冊判例タイムズ第38号」の図が想定している事故と今回の事故は、同じものであるのかを検討することになります。「別冊判例タイムズ第38号」の図は、典型的な場合を想定しているので、少し状況が変わるだけでも妥当性がなくなることもありうるからです。
それでも過失割合に納得いく結論がでない場合は、そもそも「別冊判例タイムズ第38号」の図がおかしいのではないか?ということを考えていくことになります。もちろんこのような段階は、先に進めば進むほど、相手の保険会社や裁判所を説得するのに困難になっていきます。ただ、おかしいものはおかしいということも確かですので、どうしても過失割合に納得がいかない、ということであればお手伝いしていきたいと考えています。