Hさん(男性・50代)
事故の経緯
Hさんが、自転車に乗って幹線道路を横断しようとしたところ、右方からきた大型バイクと衝突し、股間接脱臼骨折等の傷害を負い、後遺障害併合11級の認定を受けました。
過失割合について大きな争いとなりました。加害者は、以下のような理由から、Hさんの過失は100%であると主張してきました。
- 横断歩道でもないのにHさんは幹線道路を横断しようしたこと。
- Hさんは自転車進入禁止区域を走行していたこと。
- Hさんは転回禁止場所で転回をしようとしていたこと。
その上、加害者側からHさんに対して、バイクの修理費を請求する裁判を提起してきました。
Hさんは、自身に過失があることは確かだが、100%の過失があるとまでは認められないとのことで、時間がかかってもよいので納得ができる解決を求めていました。
弁護士の対応
ご依頼の時点では、Hさんは、すでに加害者からバイク修理費請求の裁判を起こされていました。
そこで、すぐに加害者に対する損害賠償請求の裁判を提起しました。
裁判では過失割合について峻烈な争いとなり、警察が作成した実況見分調書や、当職が作成したHさんの通行ルートに関する報告書などの証拠を提出し、事故現場が自転車進入禁止区域でないこと、転回禁止場所での転回はないことなどの立証を行いました。
裁判所は、「幹線道路の横断であり、通常、自転車が横断することを予測することが比較的困難な場所であることは事実であるが、自転車進入禁止区域ではなく、Hさんが転回禁止区域で転回しようとした立証も不十分である」と判断し、双方の過失割合を5:5と評価しました。
結果、Hさんは1,200 万円以上の賠償金を受け取ることができました。
弁護士からのコメント
保険会社は、慰謝料 等、損害額に関しては交渉の中で譲歩してくることは多いのですが、事故状況に関する争いに関しては頑なです。
しかし、事故状況についての争いは、過失割合に関する争いであること、過失割合によって受け取れる賠償金額も大きく変わってくることからすると、事故状況について保険会社と認識の相違があるのであれば、弁護士に相談してみることをおすすめします。