後遺障害(後遺症)認定

弁護士吉岡津

交通事故で後遺障害を負ってしまった場合(後遺障害って何?)、将来の生活を支える適切な賠償金の支払を得るためには、適切な後遺障害の認定を受けることがとても大切です。

ここでは、適切な後遺障害の認定を得て、最終的に適切な賠償金の支払を受ける方法について解説します。

賠償金額を決める基準は後遺障害の等級
等級認定の方法は
等級の認定に納得がいかない!
等級認定でとても大切なこと
逸失利益の金額に納得がいかない!

賠償金額を決める基準は後遺障害の等級

後遺障害が残った場合の賠償金額を計算するにあたり,大きな意味を持つのが後遺障害の等級です(後遺障害等級って何?)。

後遺障害が残ってしまった場合、賠償の対象となる代表的なものは、後遺障害が原因で、将来の収入を失ったために得ることができなかった利益(逸失利益)と、後遺障害が残ってしまったことによる精神的苦痛の代償である慰謝料です。この逸失利益と慰謝料の計算上,後遺障害認定が何級なのかが重要となってきます(後遺障害が残った場合の損害賠償の全体像はこちら)。

逸失利益を計算する場合、基本となる収入に労働能力喪失率(どの程度働けなくなったのかを表す率)を掛けて、そこから「中間利息控除」という特殊な計算をします。この労働能力喪失率は、後遺障害の等級ごとに目安があります。

また、慰謝料についても、後遺障害の等級に応じた慰謝料額の目安があります。

以上のように、後遺障害が残ってしまった場合には、その後遺障害が何級程度の障害なのか、ということがとても大きな問題になるのです。

後遺障害の等級によって、逸失利益や慰謝料がどれだけ違ってくるか、以下に例を挙げます。

等級 逸失利益 慰謝料 11級 (労働能力喪失率20%)14級 (労働能力喪失率5%)

逸失利益については、労働能力喪失率100%が1億円とすると、11級では労働能力喪失率の20%が逸失利益とされるので、逸失利益は2,000万円14級では5%なので、逸失利益は500万円です。その差額は1,500万円にもなります。

また慰謝料については、後遺障害の等級が11級14級の場合、11級では420万円なのに対し、14級110万円です。11級14級の差額は310万円です。

上記は、赤い本の基準です。上記に挙げた労働能力喪失率や慰謝料の額は目安に過ぎず、実際の職業や精神的苦痛の程度によっては、等級ごとの目安とは異なった額の請求が認められることもあります。

ただ、加害者や加害者側の保険会社を相手に交渉や裁判をする場合、損害賠償額のたたき台となるのが等級に応じた金額ですので、まずは後遺障害の等級認定をしっかり取ることが重要です。

後遺障害等級認定の方法は

後遺障害等級の認定を得るには、自賠責保険の手続きの中で認定してもらうことが一般的です。

加害者側に任意保険会社がついている場合は、任意保険会社経由での事前認定手続を行うことが多いです。

任意保険会社がついていない場合や、その他必要がある場合には、自賠責保険に対する被害者請求の手続の中で、後遺障害の等級認定を受けることを目指します。

弁護士に損害賠償請求を依頼している場合は,事前認定手続と被害者請求のメリット・デメリットを考慮して適宜使い分けます。

自賠責保険の手続を利用するメリットは、認定を受けるのに余分な費用がかからないこと、典型的な事案でごく標準的な認定を受けることができ、任意保険会社もその判断を尊重することなどです。

等級の認定に納得がいかない!

納得いかない 等級の認定 慰謝料

自賠責の手続による認定結果が、思うような結果でなかった場合、まずは自賠責保険の手続の中で異議申立てすることを検討します。

後遺障害認定において有効な資料があるにもかかわらず、その資料を提出していないような場合は、その資料を添えたうえで異議申立てをしましょう。

また、弁護士に依頼せずに後遺障害認定手続をしたような場合は、弁護士に依頼したうえで異議申立てをすることが有効です。

そのほか、適切な認定を受けられない原因が、認定の証拠となるものが不足しているせいなのか、医学上の問題があるのか、法律上問題があるのか、それぞれの原因に応じて、どのような方策をとればいいかを検討します。財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構に調停の申立をしたり、費用をかけて民間の機関に意見書を書いてもらって、訴訟手続の中で裁判官の判断に委ねるなどの方法を検討します。

等級認定でとても大切なこと

後遺障害認定については,自賠責の手続の中での異議申立てや訴訟で争うことができます。ただ,当然のことですが,はじめから適切な後遺障害認定を受けることより早道です。弁護士の実際の感覚としても,はじめから適切な認定を目指すほうが,後から異議申立てで覆すことを目指すよりも,適切な認定がなされることが多い気がします。

そして,はじめから適切な後遺障害認定を受けるためには,事故の早い段階から弁護士の適切なアドバイスのもとで,適切な検査を受けながら治療をすすめる必要があります。あなたが,当初から痛みを訴えていたとしても,そのことがカルテや検査記録上全く残っていないことも珍しくはなく,そのような場合,あなたがはじめから痛がっていたことを後から立証することがとても難しくなります。

そして,そのようなアドバイスをできる弁護士は限られています。多くの弁護士が交通事故を取り扱っていますが,後遺障害認定を受けてからが弁護士の仕事と考えることも多いです。そのような事件処理方針をとっている弁護士の場合,適切な後遺障害認定へのアドバイスのノウハウを持っていないことが多いのです。ですから,後遺障害認定前からの弁護士への依頼を薦めている弁護士からの助言を受けることが適切な等級認定にとってはとても大切です。

逸失利益・慰謝料の金額に納得がいかない!

「認定された等級に異論はないが、逸失利益の金額に納得がいかない」という場合あるでしょう。職業によっては、等級の低い後遺障害であっても、廃業しなければならいこともあるからです。

後遺障害等級に応じた労働能力喪失率というのは、あくまでも目安の数字ですので、実際の職業の内容により、それ以上に失った収入が多い場合は、その旨を立証して、実際の被害の程度に応じた損害賠償請求をすることができます。

慰謝料についても,同様に具体的な事情によっては,目安の額が妥当ではない場合があります。

ただしこの方法は、相手との交渉での解決は難しいので、訴訟を起こすことも検討して進めていく必要があります。

サブコンテンツ

インフォメーション

このページの先頭へ